余韻
「余韻」
小説を閉じるように
読み終えた恋の余韻
もて余すほどに、つらくなる。
知らず、知らずに、僕たちは
しおりを失くしてしまうから
それは、やり直しばかりの恋だった。
そのフレーズ見るたびに、君想う。
色褪せない笑顔を、いつまでも。
引き合う水面に、戸惑いながら
波の向こう側、憧れよう。
ささくれた鱗のように
剥がれた夜を消しながら
確かめるように、
信じ抜くように、窓を開く。
愛の行方を、探さない
鳥が、羽ばたき合うように
君の肩を抱き寄せよう
愛の行方を、知らない
いつか、暮れてく恋ならば
泣きつくす空を滑らそう
水に落ちる波紋のように
君の余韻に手を添えた
それは、懐かしくもあり
寂しい揺らぎだった。